子育てに向き不向きってあるのかな…?
まだ子供がいない時、そんなことをふと考えることがありました。
20代も半ばを過ぎると、同僚、友人の子どもに会う機会も出てきます。
しかし、身近に甥っ子・姪っ子がおらず、年の離れた兄弟やいとこもいなかった私は、小さな子に接する機会もなく、急に知人の子どもに会っても戸惑ってしまい、
かわいいけど、どう接していいかわからない…。私って子育てとか向いてないのかな?オムツ替えの仕方や抱っこの仕方も自信ないし…。
と少し不安になることがありました。
小さな甥姪がいる知り合いや私の夫が、そんな私の横で心から楽しそうに子どもと遊んでいたりすると、「子どもに好かれてるな…」「こういう人は子育てもスムーズなのかな…」と対比で余計に自信を失ったりもしたものです。
私は教員免許を持っており、実習で幼稚園や小学校に行って、その際には懐いてくれる子たちもいたので、「いや、でも子どもが苦手とかっていうわけではないはず…!」と自分に言い聞かせていましたが、一抹の不安は持っていました。
そんな私が、2歳まで子育てをしてきて、実際育児に向き不向きがあると感じる瞬間があったか?
今日はこちらについてまとめていきたいと思います。
子ども慣れしているかどうかはあまり関係なかった
結論、子ども慣れしているかどうか、子ども好きかどうかは、子育ての向き不向きとはあまり関係ありませんでした。
抱っこ・おむつ替え・ミルクづくりなどは、必要に迫られて1日に何回も行うので、反復するうちに1週間もすれば自然とできるようになります。
子どもと一緒になって楽しく遊べる能力は、生まれてすぐに必要となるものではないので、毎日子どもと向き合っている中で、自分なりのスタイルが確立されていきます。
出産前に子どもの扱いに慣れているかどうかは、子育ての向き不向きには直結しないなというのが、産後の印象でした。
子育ての向き不向きがあるとすれば、”思い通りにいかなかった時の対応力”
ただ、私が育児をしていて、
これは確かに、人によっては大パニックになるだろうな…
と感じるポイントがありました。
それが“思い通りにいかなかった時の対応力”です。
育児をしていると、「やっと外出着を着せたのに、また脱がせてオムツ交換…!」とか、「お昼寝の間に料理しようと思ったのに、30分もしないで起きちゃった…!」とか、自分の計画通りに進まないことや、やっとひと段落ついて自分の用事をしようとした途端に泣きだされるということが頻発します。
これに関しても、慣れていくことは可能だと思いますが、普段大人と接していてここまで自分の予定を崩しにかかってくる存在に出会うことはなかなかないため、人によっては「なぜこんなに思い通りにいかないのか?」「どうしたら計画通りに進められるのか?」と思い詰めてしまうだろうな…と感じました。
解決法は”思い通りに進まない前提の思考”。バリキャリの経験が役立った意外な体験
上記のように感じたのには理由があります。
それは、
カコの私だったら、もっとパニックになって、もっとメンタル削られてただろうな…
と思い当たる節があったからです。
私はこれまでいくつかの部署を異動してきましたが、大きく分けて、
- 大きなタスク数個を1~2年がかりの壮大なスケジュールを引いて少数精鋭で実行するタイプ
- 細かいタスク何百を1~2ヵ月のスピード勝負で、何百人もを仕切って実行するタイプ
の2パターンがありました。
1.の仕事は扱うものが大きく、タスク1つ1つの難易度も高く、それだけにおいそれとスケジュールや企画、作業手順変更が可能なものではありませんでした。
2.の仕事は1つ1つはそこまで複雑ではないものの、タスクの数も関わる人数も膨大で、期間は短いので、その場その場で決断し、全体をうまくコントロールしなければならないものでした。
ちなみにプレッシャーや激務度合はどちらも同じくらい。
子育ては圧倒的に2.のパターンに近いと感じました。
多数の人が自分の指揮系統で動いているので、「会議終わった…。やっと自分の作業時間…。」と思った瞬間、入れ替わり立ち替わり誰かが質問に来て、自分が進めなけれなならない作業が一向に進まない。それどころかランチやトイレに立つタイミングすら逃してしまう。
1つ1つのタスクは、十分時間を与えられて落ち着いて対応できるのであればそこまで難易度が高い作業というわけではないものの、「今日中に、コレとコレとコレとコレを…」「急遽、なる早でコレを…」と即対応を求められる。
子どもが生まれた直後、「ああ、この感覚、あの時の仕事に似てる…!」と直感しました。
深夜やっと眠れるとうとうとした瞬間に泣きだされて、一向に眠れなかったり、1つ1つは難しい作業ではないのに、「ミルク足りてない?あ、おむつ漏れてる?出生届とか会社への提出書類とか溜まってるのに…。あ、宅急便来た…!」など細かい作業をいっぺんに求められて、即時対応しなければならない…みたいな「思い通り・計画通りにいかない感」が、とても似ていると感じました。
それでも何百人もの指揮の重圧を負うより、かわいい我が子1人のお世話の方が全然マシ。たとえ寝れなくても…!と思えるほど仕事が大変だったのは、ある意味鍛えられてよかったということにもなるのか…。
もちろん1.の仕事をしている時もそれなりの無理をしてスケジュール調整することもありましたが、2.の仕事のように計画は踏み倒されるためにある!みたいな状況になることはありませんでした。
1.のパターンの仕事だけを経験していた自分がいきなり育児をした場合、「どうやったら計画通りに一日を進められるの…?!」と自己嫌悪に陥っていただろうな…という自覚があります。
どう修正しても計画通りに進められない、という経験をしたことがなかったからです。
じゃあ、無計画に過ごすしか仕方ないってこと…?
ある程度そうなってしまう側面もありますが、計画が立たないなりにやれることもありました。
2.の仕事をして、私が学んだのは“思い通りに進まない前提で計画すること”です。
- 指示出し先のメンバーがいる間は自分の仕事はできない前提。
- 少しでも進められたらラッキー。
- メンバーの出社前や出社後にまとめて作業したり、絶対に外せない作業があるときは別室に1時間だけこもって進める。
- 出した指示は正しく実行されているはずだと期待せず、締め切りまで余裕があるタイミングで小まめに確認したり、こちらから声をかけてわからなくて止まっている作業がないか確認。
- 最悪100%の到達ラインが難しい時は、何を死守して、どこを諦めるかの決断を誤らない。
などなど。
これを育児に転用すると…
- 子どもが起きている間は自分の用事はできない前提。
- 子どもがまとまって昼寝をしたら儲けもん。
- 子どもが寝た後(新生児期はまとまって寝ないので、落ち着いている午前中)の時間でこなせるように家事を段取り。
- 子どもの風邪や体調不良はひどくなる前にこまめに通院。
- オムツかぶれしないように泣いていなくても濡れたおむつはこまめに交換。
- 疲れすぎるとかえって寝れなくなって大泣きしたりするので、その手前で寝かせる。
- 最悪、大人のご飯は冷凍食品。湯舟は諦めシャワーだけ。最悪の最悪は顔を洗うだけ。
などなど。
文章に起こすと容易に思えるような内容ですが、「どうにか工夫すれば計画通りに進めることができるのではないか?」「どうにか工夫すれば計画していたことをすべてこなせるのではないか?」という期待を手放すのは案外難しいです。
でも、子どもがいると、かなり余裕をもって引いた計画であっても成功率はよくて30%くらいだと思います。
つまり、子どもが起きている時間は何もできない確率は70%なわけです。
定番のたとえだけど、降水確率70%だったら、傘持って出るもんね。
「降水確率70%だけど、何とか軒先をたどって濡れずに駅までたどり着くルートを見つけよう!」って計画は立てないもんね…。
そうなると、そもそも何もできない前提で計画を立てたほうが精神的に楽ですし、そういう前提で立てた計画の方が結局成功するということになります。
そしてその結果、自分の思い通りになる時間が数時間しかないのであれば、本当に重要なこと以外はバッサリ捨てる覚悟も必要です。
しかも想像の3倍くらいバッサリいかないと、あんまり効果がないんだよね…。
激務に勤しんでいると、独身時代は出会いが減ったり、結婚後は家庭との両立が難しかったりと、恋愛・結婚面ではマイナスしかないな…と感じていたのですが、まさかここで仕事の経験が活きるとは意外な体験でした。
何がどう、子育ての向き不向きに関わってくるかわからないものです。
私の仕事での体験自体はかなり特殊でイメージの湧きづらい面もあるかもしれませんが、“思い通りに進まない前提での計画”については少しでも参考になればなと思います。
おわり。